このとき初めて乗ったのがAディンキーでした。楽しい記憶だけで怖さはありませんでした。
その後、二十二歳のとき会社の先輩にさそわれて、江ノ島に四、五年間毎週末に通いました。
ヨット一筋ですが、それ以降仕事の関係で四十歳までは鎌倉で一年に二、三回仲間のディンギーに乗るぐらいでした。本格的に乗ったのは四十過ぎからです。これは二〇フィートのポケットクルーザーでの再スタートでした。クルーザーに乗って十年丁度です。
クルーザーに乗ってからはピクニックと称するヨットのグループでのクルージングやキャビンなどで仲間と話すなどマリンライフを満喫しています。
菅野 モーターボートの楽しみはどんなものですか。
根本 人は私のことを釣り気違いとみているようですが、私は船にいるだけで楽しいのです。ですから釣りは二の次ぎです。
船が好きでボートを買う人も同じで、船に乗るそのことが一番ではないでしょうか。
菅野 自然との触れ合いとか船との一体感はヨットの方が強く感じるのではないでしょうか。
山本 ヨットは風を受けて自然にまかせて操船するところがいいですね。今日も朝から海に出たくて八景島までセーリングしてさっき入港したばかりです。ヨットの操船は体で覚えなくてはなりません。ですから手取り足取り教えるのではなく、体で風と船の走りの感覚をつかむということが大切なのであまり手を出しません。
菅野 そんなに好きですと他人に舵は渡したくないのでは……。
山本 友人に舵を取ってもらうこともありますが、やはり落ちつきません。自分の船はシングルハンドが基本ですから、自分のポジションがあるので、ゲストが乗るとどうも落ちつきません(笑)。
ヒヤリハット
菅野 ところで、私は何回かありますが、ヒヤリハットの経験はありませんか。
根本 私は、父親から厳しく仕込まれましたので、本当にヒヤッとした経験はありません。強いて挙げれば、濃い霧の中を走っていて伊豆大島の岸というか岩に危うく衝突しそうになったことでしょうか。用心して減速していたことと漁探を作動させており、岸に近寄ったことを感じて注意を払っていたため、海岸の波のような音が聞こえたことから、大事には至りませんでしたが。
菅野 レーダーもない小型船では古いと言われるかも知れませんが五感を働かせることも大切だということですね。
山本康二(やまもとこうじ)氏
昭和22年生まれ 会社役員
所有艇:ヨット/ノーテック24ft型(定員6)
横浜ベイサイドマリーナにて「横浜ベイサイドクラブ」を設立、同会長。
同クラブを中心に安全・技術・マナーの指導に努め、また「横浜ボート天国」などで啓発活動。
菅野瑞夫(かんのみずお)氏
昭和16年生まれ
平成9年3月 横浜海上保安部長を最後に退職。
現在、日本海難防止協会企画部長。
根本武二(ねもとたけじ)氏
昭和13年生まれ 会社員
所有艇:モーターボート/ニッサンクルーズ730(定員8)
横浜ベイサイドマリーナの「横浜フィッシングクラブ」会長。
同クラブを中心に安全運航・技術・マナーの指導に努めている。