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後半には、砂浜の油玉をふるいを使って回収する作業や、岩浜や石浜をぼろ布等によって拭き取る作業なども行われている。

いずれにせよ、三国町において、ボランティア本部のもとで組織的に行なわれた油回収に係る作業の内容は、ひとことで言えばマンパワーによる人海戦術作戦であった。

(10) 油回収等に係る専門家の存在の有無

ボランティア本部における、石油類取り扱いや油回収技術等に関しての知見を有する専門家の存在については、以下の一例を除き確認できなかった。

内航タンカーの業界団体である「全国内航タンカー海運組合(以下、内タンと呼ぶ。)」では、2月初めから約20日間にわたり、傘下のタンカー会社の従業員5名をボランティアとして現地に派遣した。ボランティア本部を通じ団体ボランティアとして受け入れられた彼らは、平素はいずれもタンカーの運航やそのメンテナンスの業務に携わっており、石油類の取り扱いや油の回収技術等に関する専門的な知識を有していた。

内タンから派遣されたボランティアは、それぞれが各現場に散らばり、油回収活動に係る指導的な役割を担ったという。

(11) マニュアル類の整備

ボランティア本部では、各種マニュアル類を用意し、災害ボランティア活動の円滑な実施を図っていた。

「本部電話受けマニュアル」には、外部からの問い合わせに対し画一された対応を行うため、話し方に始まり、現地までの交通手段、用意すべき装備、宿泊先等の情報が盛り込まれていた。

「緊急時用マニュアル」は、災害ボランティア活動時の事故発生に備え、関係者の役割分担を明らかにしているほか、緊急連絡系統図等が盛り込まれていた。

「現場責任者用マニュアル」には、現場監督等がその業務を行うに当たって必要とされる基本的事項が盛り込まれていた。

その他、炊き出し要領、ボランティア保険の受け付け方法、看護業務、健康管理法等ついてのマニュアルが用意されていた。

 

 

 

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