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1.4 地震災害等におけるボランティアによる災害救援活動の制度

 

本調査では、流出油災害における一般市民等による無償の油回収活動を、災害ボランティア活動と呼び、検討の対象としている。災害ボランティア活動は、ナオホトカ号事故以前にも、過去数例、小規模ながらも行われていたことが確認されている。しかしながら、のべ数十万人に及ぶボランティアによる大規模な活動が行われ、マスメディア等を通じて国民の大きな注目を浴びた事例はナホトカ号事故が初めてのケースであった。

ところで、本調査が対象とする災害ボランティア活動は、その他の災害を含め総合的にボランティアの活動形態を分類した場合において、いわゆる災害救援活動と称するジャンルに属するものである。

流出油災害以外の災害において、ボランティアによる大規模な災害救援活動が行われた、もしくは行われるであろう代表的なものとしては、地震災害の事例が思い起こされる。そしてこの地震災害の事例に関しては、ボランティアの協力を得る側、具体的には各地方自治体側の受入態勢の整備が、防災基本計画等の主旨に則り、着々と進みつつあることが判明した。

本節では、今後、災害ボランティア活動に関する検討を進める上での参考とするため、地震災害を中心としたボランティアによる災害救援活動に関し、地方公共団体によるシステム構築例のいくつかを紹介する。

(1) 東京消防庁災害時支援ボランティア制度

現在、東京消防庁では、都内で発生した地震災害に際して、消防機関と専門的な知識・技術を有するボランティアが連携し、災害防除活動等に当たることを目的とした、災害時支援ボランティアと称する一般市民等のボランティアによる登録制度を進めている。

平成10年度末現在、一般市民等のボランティア、約17,000名が登録を済ませている。以下にその概要を述べる。

1] 活動内容

災害時支援ボランティアは、震災時等において登録先の消防署へ自主的に参集、東京消防庁が行う消防業務のうち、次のいずれかの分野について、消防署員及び消防団員と連携し活動を行うものである。

a 応急救護に関する活動

b 消火活動の支援に関する活動

c 救助活動の支援に関する活動

d 災害情報の収集に関する活動

e 震災後の調査・復旧支援等に関する活動(消防設備、危険物の応急措置及び火災調査)

 

 

 

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