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6. 伊勢湾海上交通センター(仮称)の整備計画

 

6.1 海上交通センターの必要性

伊良湖水道航路は、海上交通安全法に定める航路のうち海上交通センターが整備されていない唯一の航路であるが、船舶交通が輻輳し、とくに巨大危険物積載船の通航が増加していることから、万一これら船舶に事故があった場合、当該船舶の被害のみならず、航路の閉鎖等により経済問題となる恐れのあることは、指摘されているとおりである。

伊良湖水道航路および付近海域は、前項で述べたように

1] 朝日礁、コズカミ礁等の険礁があって、大型船が通航できる伊良湖水道航路は幅1,200mと、他の海上交通安全法の航路に比べ狭い。また潮流は北西・南東へ流れ、最大約2.7ノット(南東流)である。

2] 対面交通方式(通航分離)を採ることができず、巨大船と巨大船または巨大船と準巨大船の航路内での行会いを制限する特別な航行管制が実施されており、通航時間に制約を受ける。

3] 伊良湖水道は1日約1,000隻、同航路は1日約300隻の船舶が航行し、他の海上交通安全法の狭水道に比べ、漁船の航行および操業が多い。

4] 海上交通安全法による管制船舶(巨大船、危険物積載船および長大物件曳(押)航船)の通航隻数は、平成10年では、浦賀水道航路に次いで多く、かつ巨大船の占める割合が高い。

等の特徴がある。

また、伊良湖水道航路南口付近において、平成11年6月29日16時55分頃、貨物船第八東星丸(497総トン、全長76.15m)と自動車運搬船日清(6,429総トン、全長138.00m)が衝突して第八東星丸が沈没し、5名の乗組員のうち1名は救助されたが、1名死亡、3名が行方不明となる重大海難が発生した。 (巻末資料1-5参照)

したがって、伊良湖水道航路および付近海域における船舶の航行の安全と運航効率の向上を図る ために、他の海上交通安全法航路と同様に、きめ細かな情報の提供と航行管制を一元的に行う海上交通センターを整備することが望ましい。

6.2 整備計画

伊勢湾海上交通センターの整備計画(案)の概要等を図6.2-1および図6.2-2に示す。

なお、整備の完了目標年次は平成14年度であり、運用開始は平成15年度の予定である。

 

 

 

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