(2) 船舶に対する海賊及び武装強盗
事務局は1998年の海賊及び武装強盗に関する年次、四半期及び月間報告並びに国内法及び国際法に従って沿岸国が取った行動に関する情報につき説明し、またIMBは1998年に起きた3件の重大な海賊行為を報告した。事務局は提出文書(MSC71/15/2、3、4)に基づいて海賊問題に関する東南アジアへのミッション、ブラジリア及びシンガポールで行ったセミナーの詳細につき報告すると共に両セミナーにおいて採択された海賊及び武装強盗の調査及び捜査、処罰に関する国際的なコードを早急に策定するよう要請する決議を紹介した。
今回設置されたドラフティング・グループ(DG)における審議は次のとおり。
1]MSC/Circs.622及び623について見直しを行いWP.6として合意した。
2]ベネズエラ等が主張していた報告様式の見直しについては、事件の発生が領海内か公海上かを船長が判断するのは容易でない場合も多いことから、基本的には現行の様式を維持することとし、判断の一助とするために今後関連サーキュラーの脚注にUNCLOSの海賊の定義を記載することとした。
3]国際的なコードの策定については、セミナーやワークショップの開催、関連地域へのミッションを派遣するなど過去の事例や多発地域に関する豊富な情報を持ったMSCが適任と考えられること等から、引き続きMSCが担当することとし、コレスポンデンス・グループ(CG)を設立してコードの原案を策定することに合意した。しかしながら、時間的制約からCGへの詳細な付託事項についてまでは審議することができなかった。
4]CGの調整国は英国が引き受け、同時にコードの原案の作成も行うこととなった。
プレナリーにおいて、DGからの報告を受けた議長は、CGを設立することとし、その付託事項として「海賊及び武装強盗に関するセミナーやワークショップ、作業部会のレポートの他、1998SUA条約等関連資料を考慮し、海賊及び武装強盗に対する調査及び捜査に関する文書の原案を作成して次回のMSC72に提出する」ことを指示した。
(3) 海上からの不法移民に伴う非安全行為
事務局よりMSC71/17及びMSC71/17/1につき説明が行われ、我が国の他、英国、バヌアツ、ギリシャ、イタリアが支持を表明し、何らの反対意見なくウィーンで開催された国際犯罪に対する条約の策定に関する臨時委員会の第1回会合の結果報告がテイクノートされるとともに、第21回総会に提出されるプログレス・リポートが承認された。また、国際犯罪防止刑事司法委員会の臨時会合及び第27回FC委員会での結果につき、事務局から直接第21回総会に報告することについても併せて承認された。
(4) 航路指定(イスタンブール海峡)
初日のプレナリーにおいて、米国より本件への取り組みに関し、議論はイスタンブール海峡の安全と環境保護に焦点を当てたものとすること、同海峡に関する包括的なレポート(New Report)を作成すること、IFSMA等から提案されたMSC71/22/8について十分分析することの提案がなされ、当事国であるトルコ、ロシアのみならず、英国、フランス、ドイツ等多数の支持を得た。