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海上保安庁が平成10年に送致した海上環境関係法令違反は、814件であり、船舶からの油の違法排出等の「海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律」違反が500件と大半を占めており、未だ関係者の海洋汚染に対する認識が十分でなく、海洋汚染の防止意識が徹底されていないことを示している。法令別の違反状況及びその推移は第2表のとおりである。

海上環境事犯は、監視取締りが厳しくなるに従い、その目を逃れるため手口がますます巧妙となり、潜在化する傾向が見られるため、工場排水の採水分析及び夜間監視装置の活用等により監視を強化している。また、海上環境事犯の捜査にあたっては、海洋へ排出された油の排出源を特定するために高度の化学的な分析鑑定技術を必要とするため、海上保安試験研究センター(東京都立川市)に化学分析課を、各管区海上保安本部に分析室を設置し、ガスクロマトグラフ、赤外分光光度計、ガスクロマトグラフ質量分析計、分子構造解析装置など最新の公害分析機器を整備すること等により分析鑑定体制の充実強化を図っている。

このように海上保安庁では、今後とも監視取締りを一層強化していく方針である。

《船舶からのビルジ違法排出事犯の摘発事例》

小松島海上保安部は、平成10年9月15日〜10月14日までの間6回にわたり、油分216lを含むビルジ28.8klを故意に排出した浚渫船機関長を、海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律違反で摘発した。

 

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巡視船による監視取締り

 

 

 

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