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3 寒冷前線と不安定線

寒冷前線通過による気象の一般的特徴は、1] 気温が急激に下がること、2] 気圧が急激に上昇すること、3] 風向が急に変わり、突風を伴うものがあることです。

高気圧が高緯度から急速に南下し前線の後方から強い寒気が入り込む場合は強い寒冷前線ができ、また早い速度で東進する寒冷前線ほど活発で強い風と驟雨を伴います。

今までの比較的平穏な海上模様が一転、空が掻き曇り突然の突風、強い雨に見舞われることがあり、時には15〜20m/s以上の強風になります。寒冷前線の通過には十分な注意と警戒が必要です。

この寒冷前線は時に、前方に暴れん坊の「不安定線」を発生させることがあります。

これは寒冷前線上に発生した雷雨線が独立して親の寒冷前線より速く進行したもので、降雨、雷、突風などは寒冷前線と同じ状況を呈します。

比較的短命でせいぜい1時間程度ですが、天気図には表れにくいので、海上ではラジオの聴守のほか観天望気も大切です。

4 冬の季節風(寒気突風)

冬季シベリア大陸では強い寒冷な高気圧が発達します。相対的に穏やかな海上では低気圧が発達し易く、これがときには爆発的といえるほどに急速に発達することも珍しくありません。またこれらの低気圧は必ず活発な寒冷前線を伴いこの寒冷前線の後面では必ず突風を伴った強い季節風が連吹します。冬の気象衛星雲画像の「すじ雲」はこれを表しています。

穏やかな冬の日の後には必ず強い季節風が風の乱れを伴いながら連吹し、ときには大時化となります。

5 小春日和

11月から12月初めの頃、風もなくポカポカ温かい日差しのときがありますが、これを「小春日和」と呼んでいます。「小春」とは陰暦の10月の別称です。

同じような「日和」を英米では「インディアン・サマー」と呼んでいます。

この時期、大陸の移動性高気圧の前面で温かい小春日和であったものが、この高気圧が三陸沖に抜けると西高東低の冬型の気圧配置に戻り北西の強い季節風が吹きます。小春日和の後は一転して荒れ模様となるので、穏やかな海に出ていた漁船やヨットなどの小型船舶の海難が多発することがあります。

 

 

 

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