あなたは常に他船から信頼される行動をとっている自信がありますか。
海上交通の安全を確保するために、我が国では海上衝突予防法や港則法、海上交通安全法が定められており、これらを海上交通三法といっています。
これらのルールは「信頼の原則」を貫くことが安全確保の前提になります。
「信頼の原則」とは、「相手船が必ず定められたルールを守る」という予想、信頼が前提で「自船はこちらについて定められたルールを守った行動をとれば絶対に衝突しない」というものです。
相手の信頼を裏切る判断や行為は安全のメカニズムを破壊してしまいます。
「運航は野球の守備と同じだ」と先に書きました。守備の名手は「職人」とも言われ、絶対というほどミスをしません。
プロ(プロフェッショナル)とは、広辞苑によれば「専門家。職業としてそれを行う人。」と書いてあります。別の言い方をすれば、「専門家としての必要とされる知識、技能を有し、仕事を任せても信頼できる人」「安心して守備を任せられる人」と、まさに“信頼”がキーワードとも言えましょう。
船舶運航に当たる人は、このプロの意識、プロ気質をもって安全運航に努めて欲しいものです。なお、プレジャーボートについても海上という同じ土俵での安全確保責任は同等ですので、一層気を引き締めてルールを遵守する必要があります。
1 航法の遵守
「海難審判の現況」(平成11年)によれば、裁決衝突事件の海難原因数約900件の約45%が「見張り不十分」で、次に約21%が「航法不遵守」となっています。