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(2) 運航体制

1] 船橋内での役割分担の明示など組織的運用の実施(BRM)

船長の他にも配置者がありながら夜間、視界不良時の航路標識の見誤り、レーダーによる船位などの確認不十分が事故の原因となっているものがあります。

2] 厳重な見張りの実施

居眠りによるもの、他船の動向を継続して把握していなかったものによる衝突がみられます。

3] 船首、船尾配置者からの的確な状況報告の実施

船橋からの報告指示、前後部からの報告のない船もみられ、離着岸時に岸壁などへ船首部、船尾部を接触させる事故が散見されます。

(3) 操船法

1] 荒天下における出入港(もちろん運航基準遵守)の操船法の研究

出入港する夫々の港について、操船法、支援法を研究し、マニュアルを作成しておくこと。

2] 風圧に対するバウスラスターなど使用による操船限界を把握した操船

バウスラスター、両舷推進器やジェット推進器、特殊舵の使用については、当然その能力には限界があります。狭い港内で無理をすると、港内、岸壁の状況、それらと風の関係により操船に困難をきたし危険に陥ることとなります。

3] 錨を活用した操船法採用の検討

内航貨物船は実にうまく錨を活用しています。バウスラスター装備の旅客船でも、状況によってはこの操船法を採用するとよいと思われます。

4] タグボートなどの支援の検討、準備

タグボートがない港でも綱取り支援のボートの準備など、当該港に合った支援法を考え、準備しておくとよいでしょう。

5] スクリュー固定ピッチ船では着岸前の後進テストの実施

後進が掛からず岸壁に衝突する船が散見されます。後進テストを必ず行うほか、入港時には必ず錨をスタンバイしておくこと。

6] ジェット推進船、ジョイスティック船などでの操船法研究

従来の操船法と異なる船では操船法を十分に研究・慣熟し、またその特殊機能がトラブルを生じた場合の応急操船についても研究しておく必要があります。

7] 岸壁接近速度に注意

訪船アドバイザーから、一般的に着岸時における接近速度が過大ぎみであるとの指摘がみられます。

 

 

 

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