日本財団 図書館


5.5 交通信号機と旅客流動の影響による評価

 

5.5.1. 本シミュレーション方式の概要

LRVのシミュレーションでは、併用軌道を走行する場合、交通信号の影響を考慮しなくてはならない。また、利用者の立場に立った旅客の流動による影響も考慮する必要がある。この旅客流動と交通信号の影響によるシミュレーションは、すでにそれぞれ別個に検討したが、ここでは、この両要因の影響を同時に考慮したLRVの総合評価シミュレーションを実施する。

列車には予め、遅れ時分を与え、その遅れの回復、または増加の状況、列車に乗車中の通過人員等を追跡し、旅客の立場からの評価因子として、混雑率を求め、損失時間を算出して、LRVの運転状況の評価を行うものである。

一方、交通信号の影響については、自動車とLRVを共に優先系統制御する方法として、提案するスルーバンドマッチング法によりシミュレーションを実施する。信号機間隔200mをべースとする設備bにおいて、サイクル長180秒として、上り方向を40km/hで系統制御する場合の、上下・香車種(LRV、在来車)を有効に走行させることができるかを評価する。なお、このLRVの総合評価シミュレーションでは、自動車及び自動車群に対しては、すでに検討済みであるので、除外する。

 

5.5.2. 乗降パターンを変化させた場合のシミュレーション

(1) シミュレーション方式

旅客流動については、乗降パターンaとbの2つの場合について検討する。運転時隔は90秒とすることができないので、サイクル長と同一の180秒とする。また、始発停留所で与える遅れ時秒は80秒とし、続行1列車を在来車とLRVに割当てる。

その他のシミュレーション上の諸条件は、旅客流動と交通信号の影響による各シミュレーションの値を活用する。

(2) 乗降パターンaの場合のシミュレーション

乗降パターンaは、両端末停留所の乗降客は多いが、中間停留所は一様な乗降客を有するもので、乗車係数pが1.2秒/人、ラッシュ率70%で、標準的な停車時秒が与えられる場合について検討する。予め、遅れを80秒与え、その回復状況または遅れの伝播状況をシミュレーションするものである。

在来車を続行1列車とし、始発で80秒の遅れを与えた場合のシミュレーション結果を図-5.5.1に、LRVを続行1列車とし、シミュレーションした結果を図-5.5.2に示す。

図-5.5.1は、全車が在来車で、上下とも始発で遅れを80秒発生させたもので、遅れがかなり回復しているものの、末だ基準の時刻まで回復していない。

図-5.5.2は、上下とも続行1列車がLRVで、始発停留所で与えられた80秒の遅れは、上りは回復しているが、下りは未だ回復していない。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION