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1]荒川線の大部分の区間で精度良く車両位置検知可能であることが確認された。図4.3-4に東尾久三丁目付近の直線区間と、学習院下〜面影橋間のカーブ区間の精度良いデータ例を示す。

2]JR線の高架下など上部に遮蔽物のある区間では、GPS受信不良となり、車両位置検知不能となる。その区間は以下である。

・王子駅前〜飛鳥山間のJR線路高架下

・大塚駅前停留所 (JR線路高架下)

・鬼子母神前〜学習院下間の日白通り高架下

図4.3-5に王子駅前〜飛鳥山間と大塚駅前停留所のGPS受信不良時のデータ例を示す。

鬼子母神前〜学習院下間の目白通り高架下では受信不良となったが、熊野前、東池袋四丁目停留所近くの高速道路高架下では、GPS受信不良にはならなかった。図4.3-6に目白通り高架下で受信不良となる場合と、東池袋四丁目停留所近くの高速道路高架下で受信不良とならないデータ例とを示す。

3]ディファレンシャルによる補正が、極めて有効であることが確認された。図4.3-7に同一区間でディファレンシャル補正のある場合とない場合の車両位置検知データを示す。なお、図のデータはFM受信がアンテナケーブルの接続不良により途絶したことで、偶然に測定されたデータである。

4]上記に示されるように、FM受信不良になるとディファレンシャルデータが狂い、検知誤差が大きくなる。連続的に受信不良となる場所は、以下である。

・東京タワー(TOKYO FM)の方向に高い建物がある場合

町屋停留所前、王子停留所前新幹線高架側など

・変電所近傍

荒川車庫前、新庚申塚B線停車時

図4.3-8に町屋駅前のFM受信不良時の車両位置検知データを示す。

5]GPS受信機には検知位置の急激な変化に対してその変化量を抑えるスムーズイング処理などの固有の処理を有している。このため、図4.3-5の大塚駅前のデータのごとく、FM受信が回復してディファレンシャルデータが正確になってもこのような処理により除々に回復していく状況が認められる。

c. マップマッチング処理

マップマッチング処理によりGPS車両検知位置が、確実に直近の線路上に移行することが確認された。特に走行中は、デイファレンシャル無効である場合も含めて、走行状態に対応して精度良く線路上の車両位置を示していることが確認され、鉄道システムにおけるマップマッチング処理の有効性が示された。ただし、停車中にディファレンシャル処理が利かないと、図4.3-8の町屋駅前データに見られるごとく、車両位置が前後する事象が見られる。停車時は注意を要する。

 

 

 

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