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(2) 試験油の混合状況

それぞれのかく拌方法による試験油の混合状況を、次により調査した。

1) 目視観察

試験油の混合状況を目視で観察したところ、手かく拌方式及びペンシル・ミキサー方式では、ともにほぼ均一に混合された試験油となっていると認められたが、プロペラ方式では、低回転数では回転が安定せず、430rpmで安定した回転となったが、プロペラ軸付近の混合液の窪みが著しく、ビーカー壁面沿いの混合液はほとんどかく拌されていなかった。また、マグネティック・スターラ方式では、回転数100rpm(無負荷でのもの)ではかく拌子が回転せず、回転数600rpm付近でかく拌子の十分な回転が認められたが、かく拌子が空回りする状態となって十分なかく拌は認められなかった。

 

2) 試験管振とう試験による乳化層の状況

予め混合による性能試験では、十分に混合された試験油であるほど高い分散効果が得られると考えられることから、試験管を用いた振とう試験での乳化層の状況から試験油の混合状況を比較した。

 

a 試験方法

かく拌時間を1分、2分及び3分と変化させた3種類の試験油を作成し、これらの試験油を、人工海水25mlを入れた3本の試験管(30ml用)に1mlづつ入れて栓をし、振とうした。また、比較のために、1本の試験管には油1mlのみを入れて振とうした。振とうは、同時に上下約10cmの振幅で20回行い、振どう直後(約5秒)、静置開始から15分後及び静置開始から45分後の乳化層の状況を比較した。

なお、かく拌時間を1分または2分とする試験油の作成については、前記1のかく拌方法においてかく拌時間を3分とした方法に準じて行った。

b 試験結果

全般的な傾向として、振とう直後では全体がコーヒー色で、静置から15分後には下層の部分が徐々に薄い色となり、45分後にはブランクのものとほぼ同じ分離層が形成されていた。この中で手かく拌方式及びペンシル・ミキサー方式に比べてプロペラ方式では、静置から15分後及び45分後において、下層の部分の色がより薄くなる状況が観察され、また、マグネティック・スターラ方式では、さらにこの傾向が顕著となって、静置開始から15分後の時点で分離層が形成されるのが認められた。

 

 

 

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