日本財団 図書館


4) 容器と容積

1)項目で述べたように波動によるかく拌のため、舶査第52号またはラボファイナ法等に用いられている分液ロ一ト型では、波を発生させることができない。また、波を発生するには容器内の空間が必要となることから、密閉できる容器とした。また、3)項目で述べたように海水量が他の試験法と比べ多いこと、挙動の大きい滑らかな波面を発生させるためには、適当な空間容積が必要となることから1,110mlの円筒型分液ロートに試験油を投入する口を新たに設けた容器とした。

5) 油:海水比

分散率に大きな影響を及ぼす因子の一つとして油:海水比が挙げられる。Fingas等の調査研究によると油:海水比が1:1,000以上であると分散性能にほとんど影響がなく一定値となり、1:500で最大の分散率が得られるが、1:400以下では分散性能に渦波現象が見られ、バラツキの要因となる。また、1:20以下になると分散性能は極端に低下することが指摘されている。さらに、このことは、3)項目のミセルが作用していることが挙げられることから、本試験法では、他の因子を考慮しなから油:海水比をなるべく大きくとることとして、油:海水比を1:550の安定した分散領域に収めるようにした。

6) 油:油分散剤比

自己かく拌型分散剤の開発目的の一つである航空機からの散布により、沖合への迅速な進出、広範囲な海域への迅速かつ的確な散布を可能とするもので、この有効性を高めるためには散布量の少量化が必要である。このため、油量に対する油分散剤の比が通常型分散剤の1/4〜1/5程度の量とし、油量に対する散布量を4%とした。

7) サンプル静置時間(採取時間)

本調査研究及びFingas等の調査研究によると、静置時間は長くなる程分散率が低下する。この分散率の低下はおよそ3期に分類され、第I期は0〜10分で大きい粒径が浮上するが、分散性能値にバラツキがあり、性能値は急勾配で低下し不安定である。第II期は10〜20分で不安定な微粒子がほぼ浮上し安定した粒子の範囲となる。第III期は20〜60分で第III期の低下率は緩やかな減少である。このことから静置時間は10分とした。

8) サンプル採取量

実験室実験では海水量が少なく、かく拌後の粒子は、海水量が少ない程、クリーミング、凝集、合一の現象が受け易いことが分った。このことは、海水量が比較的少ない試験法(海水量50ml、採取量30ml)のでは、サンプル採取の際に、不安定な大きな粒子を取り込んでいる可能性があり、分散性能を評価する上で過大評価している嫌いがある。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION