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また、潮流速度が速くなるとスカート下部の深さが浅くなり漏油の要因ともなる。

3) 乾舷:オイルフェンスの喫水線上の高さ

乾舷は、オイルフェンスの浮体頂部から油が越波で乗り越えるのを防止するための高さが必要となる。

オイルフェンスは、波に対して追従性が良好で常に乾舷がほぼ一定でなければならず、かつ、柔軟で波の上下動に連動し、流出油の乗越を防止する高さが要求される。

4) テンション部材:水平の引張り荷重を受ける部材

水平の引張り荷重を受ける部材としては、ベルト、ロープ、ワイヤー等がある。テンション部材の設置位量は、スカート上部あるいはスカート下部に沿って設けられる。

テンション部材がスカート上部に設置されたオイルフェンスをトップテンション方式、スカート下部に設置されたオイルフェンスをボトムテンション方式と呼ぶ。

一般にボトムテンション方式の方が張力が大きく、テンション部材はチェーン、ワイヤー等を使用する。このため、浮体部及びスカート部の布地等はトップテンション方式に比べ剛性の大きいものを使用する。また、波に対する追従性はトップテンション方式と比べ悪い。

5) 重錘部:スカート部の有効水深を保持するために取り付けられる重錘

重錘は、オイルフェンスのスカート下部にバラスト用として取り付けて、水中におけるスカート部の姿勢を垂直に保持するためにスカート下部の全長にわたって取り付ける。

オイルフェンスの型式によって重錘重量が異なり、潮流が速くなるとスカート下部が後方に流され(吹かれ現象、トップテンション方式)スカートの有効深さが減少する。

 

(2) その他の補助具(支持具)の定義

1) アンカー取りベルト

フェンスやテンションベルトの端末にアンカーや曳航ロープの取付用に設計された個所である。一般的にテンションベルトの端末にシャックルを取り付けられている個所を指す(トップテンション方式)。ボトムテンション方式ではスカートの底部に沿って設けられ、潮流によるスカート部の「ふかれ」(喫水の減少)を防止する。

(スカート部の「ふかれ」とは、潮流等の外力を受ける被膜帯であるスカートが変形することを指す。)

2) プライドル

適当な長さのロープや鎖の両端を各固定し、その中間に他のロープや鎖にバイトにかけて引張る。アンカーで固定した場合に加わる荷重を分散させるために使用する。

 

 

 

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