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II 調査研究の内容

 

II-1 物理的油防除資機材の性能調査

 

II-1-1 油回収装置の性能調査

 

油防除作業において投入すべき油回収装置を選定するに当たり、考慮すべき事項として使用可能な海域、回収可能な粘度の範囲、機動性、操作性などが挙げられる。しかし、これら油回収装置の特性については、特段、試験方法が定められている訳ではなく、また、メーカー等も主に移送ポンプの能力をもってその油回収装置の性能としており、その他の項目については不明な点が多く、実際の選定に当たり苦慮しているのが実情である。

このため、個々の油回収装置が持つ様々な特性を明らかにすることを目的とし、その試方法の確立と確立した試験方法に基づく実機による油回収試験を実施した。

平成9年度は海上災害防止センターが所有する訓練水槽の造波性能等水槽特性を求めるとともに、実機の油回収装置を用いて予備試験を行い、性能試験が可能な油回収装置の種類、大きさ、集油用のオイルフェンスの展張方法、集油のための装置等について調査した。

10年度は9年度の調査に基づき性能試験方法を検討するとともに集油装置を設置して、回収原理の異なる3機種の油回収装置について、性能試験を実施した。

11年度は10年度に実施した性能試験を踏まえ、さらに試験方法に検討を加え「油回収装置MDPC試験法」を確立し、機種の異なる3機種の油回収装置について性能試験を実施し、2か年で6機種の油回収装置の性能試験を行い、油回収装置の評価方法を確立した。

(11年度実施した3機種の性能試験の詳細は、資料Iを参照。)

 

1 油回収装置MDPC試験法及び試験施設等

 

(1) 試験施設等

油回収装置MDPC試験法を用い油回収装置の性能試験(以下「性能試験」という。)を実施した訓練水槽(以下「試験水槽」という。)の状況を写真1-1-1に、基本的な試験の概要を図1-1-1に示す。

試験水槽の要目

長さ 12m

幅  8m

水深 4m

試験水槽の設備

・ フラップ式造波装置

造波可能波長;3〜10m

造波可能最大波高;53cm(波長6m時)

・ 消波装置

・ 集油装置

ポンプ能力;500l/min

排水管直径;80A

排水ノズル;15個(間隔30cm)

流速;最大 約0.8m/sec(ノズル付近)

水槽中央 約0.3m/sec

 

 

 

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