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四條畷市消防本部 (大阪)

 

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当本部は、大阪府の東北部に位置し、私が新大阪に降り立ってからJR線を乗り継ぎ、消防本部庁舎まで約一時間という交通至便、そして生駒山系を東に臨む風光明媚な市街地にある。管内面積は一八・七四km2で、その約三分の二は金剛生駒国定公園に指定され、生駒山地を隔てて東部は開発が進む緑豊かな関西文化学術研究都市、西部は国道、鉄道が走り官公庁、病院、学校等が集中する市街地を構成し、一本部、一署、一分署六九人の職員と一八〇人の消防団員によって五五、〇〇〇市民の安全を日夜守っている。

管内には各時代の遺跡も多く、河内と大和を結ぶ交通の拠点として中央の政治、文化の影響を強く受け、南北朝時代には、楠木正成(大楠公)の息子正行(小楠公)が南朝軍の将として高師直と戦った「四條畷の合戦」の舞台となった。小楠公墓所から真っ直ぐ東には四條畷神社があり、市街地を一望することができる。また、室町時代には三好長慶が飯盛城にて五畿(大和・山城・河内・摂津・和泉)に君臨した歴史深い土地である。

 

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★計画的な取り組み !

市では「発展に緑と歴史をいかすまち・四條畷―ひと、まち、みどりがきらりと光る文化・福祉都市をめざして―」をスローガンに市総合一〇年計画を定め、その中に消防の「現状と課題」「基本方針」「主要な計画」を設け長期・短期の計画に沿って「職員の育成」「施設の整備」「資機材の整備」を図っている。また、高度救急救命に対する医師の指導体制の確保については、隣接の四消防本部と共に救命センターと協定を締結している。

 

★実状に応じた取り組み !

常に災害に対応できるよう消防長自らが執務服での勤務を行い、職員の殆どが隔日勤務に配置され人員不足をカバーし、地域的問題をカバーするために、狭溢道路の多い西部市街地には消防ポンプ自動車(CD-I型)二台に一、〇〇〇ℓの水を積載し機動力を備え、一隊配置の東部の分署には大型のポンプ車を配置し、電動ホースレイヤー、高圧ポンプ、簡易救助器具等を装備し、少数であらゆる災害に対応できる体制を確保している。また、東西を結ぶ国道一六三号清滝トンネル(一、一一〇m)での災害事象に対応するよう、トンネル内と陸上移動局との間で漏洩波方式の通信装置により通信網の確保を図っている。

 

★市民と共に火災予防 !

昭和五二年に設立された防火協会は、現在四四〇人余りの会員を擁し、消防行政を側面から支援、協力している。二つの婦人防火クラブは三六人で、平成五年には大阪府を代表して全国婦人消防操法大会に出場し、現在も地域行事を中心に活動中である。市内の私立幼稚園の五歳児を対象に結成された幼年消防クラブは、現在約三〇〇人、訓練等を通じ防火意識の向上に取り組み、幼年消防クラブ員認定証授与式では、揃いの法被に身をつつみ防火を誓っている。また、行楽期の山火事対策として消防団による山林パトロール、職員による入山者へのパンフレットの配付等、住民と共に火災予防を推進している。

 

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★市民への奉仕者として !

合川消防長は財政難、職員の高齢化等の問題をかかえて今後の都市開発と市民ニーズに応えるためには「融和」の精神を職員に浸透しつつ「広域化」を視野に入れた将来構想の具現化について市民の理解を得ながら全職員がグローバルに問題を見つめるべきであると力説され、四條畷における新しい波を私は強く感じた。

(中村昌美)

 

 

 

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