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タワーライトの一番前で使うものをトーメンタルタワーと呼ぶことが日本では多いようです。トーメンタルとは袖幕のことなんですが、袖のライトと言う意味なんでしょうか。

欧米では、タワーのことをラダーと呼ぶことが多いです。吊下げている機構のことを全部ラダーと呼んだり、基本的にバアーだけをおいてきてブームとという言い方でスポットだけ吊り込んである、それを袖幕と袖幕の間に上から吊下げるような機構も有ります。

アッパーホリゾントはホリゾントを上から染める、下から染めるのがロアーホリゾントですが、皆さん方の劇場のホリゾントもキャンパス地で出来ていて、舞台の客席側から染めるタイプが多いと思いますが、幾つかのホールは後ろから染めるリアスクリーンになっている物が最近割と多く出てきました。理由は、ここのホールのローホリは低いんですが、私の足元が切れますね、私の全身がシルエットになりません。このローホリはまだ低いから良いんですが、ホールによっては、30センチもあるローホリ器具をお持ちのホールも有ると思います。そうした場合、バレエ、モダンダンスにしてもシルエットが確保できない。

リアスクリーンになれば、ローホリが有りませんから、シルエットが表現できる。幾つかのホールはローホリをピットに落としているホールも有ります。

ボーダーライトですが、普通、1ボーダーライト、1サスペンション、2ボーダー、2サスペンションとなっている設計が多いと思います。今、照明デザイナーでボーダーを使いきるデザイナーは少なくなりました。一番良く使うのが、背景、背景の幕をフラットに染めるために使いますが、特に若いデザイナー達は特にボーダーを使うという事が無くなってきて、作業灯代わりという状態だろうと思います。ただ、古典を行なう場合はボーダーは絶対に必要です。

フットライト、舞台の框の奥、この足元の位置から演者を照らす機構があります。これも日本でいう古典の表現に対しては必ず必要といいますか、欲しがります。照明デザインをする時、ここから照らして顔の影とか衣装の影をなくすのですが、我々は絶対に必要とは考えないんですが、演ずる側はフットライトが無いと不安になるというものです。

若い方には、死語になっているかもしれませんが、脚光を浴びるという言葉があります。注目されるということですが、脚光とはフットライトの事です。最近、中国で仕事をしてきましたが相変わらずフットライトの事を脚光と表現していました。

通常、ステージに色々の照明器具を置きます、ステージサイドライトとかステージスポットとかの言い方をします。

日本には花道、仮花道、上下に脇花道が設置されているホールが多いと思います。その花道に対してのフットライトですとか、歌舞伎の場合の花道が舞台の七分三分の位置から客席にタテに通っているのが本花道です。その逆側に少し細い花道が通っているのが仮花道です。本花道をメインで使いますが、こちらの花道と掛け合うために仮花道を使うことがあります。歌舞伎の劇場とか歌舞伎のシステムを持っているがホールは、その花道に対してのフットライト、花道に対して客席側から明かりを取るための鳥屋、花道の奥の部屋を"トヤ"といいますが、鳥屋のスポットライトが必要になってきます。

 

 

 

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