第2部 巻末資料
文化政策はアートを創り出せるか
市村作知雄 1999.12.9
(NPO社会における芸術の基盤整備)
1. 芸術政策の論理の転換
アメリカ合衆国やフランス等先進国の国による芸術政策の根本的理解-国威発揚
アメリカは1960年代半ばより「経済も政治も軍事も世界一になった、残っているのは文化だけで、文化も世界一になる必要がある」
フランスの文化芸術政策は、国家的戦略のもとになされている。外交においても、まずフランス文化の浸透からはじめる。
それに対して、現在の日本では国威発揚という考え方をとらない、新しい論理を生み出すことに苦労している。つまり、市民(NPO)による新しい文化政策である。
2. アートに効用はあるか
アートの2つの側面
a. アートは多様に利用できる有効な道具である…現在の流行
福祉や教育と密接なアートの効用-アートのワークショップによるメンタルケア
障害者自身による芸術活動
・アートは有益な道具だから、社会的に支援すべきである
b. アートは道具ではなく、それ自身が目的である
人間の表現活動のもっとも高度な現れ
アートは福祉でも教育でもない、人間の本質的表現行為である。
・人間のもっとも高度な表現活動そのものに支援すべきである
3. 何が高度なのか…アートの質と評価は可能か
ちょっとした誤解「アートは好きなように感じたまま受けとることがよい」
・アートは厳密に創られている
・アートは前世代のやり残した課題をすこしずつ解決している
芸と創造 伝統芸とコンテンポラリーの見方の違いとは何か
・プロフェッショナルなアートの見方 鑑賞教育の不備
・アートは正当に評価できる 文化政策はアートを創造する
4. 内容にまで踏み込むNPOの芸術政策
もっとも卑俗な意味での文化政策とは文化庁の政策
NPOのための文化政策をたてる