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冷戦の真っただ中で、ケネディが暗殺される時期に当たります。当時は、経済も政治も軍事も、もう間違いなくアメリカは世界一。残るは文化、これはヨーロッパに勝てない。だからアメリカをすべてのもので世界一にするためには文化に投資しないといけないという、極めて単純な論理で、本当にわかりやすい。

次にヨーロッパも、フランスの文化政策というのは国家的な戦略の下にやられている。外交的なものをやるときに、フランスはまず最初に文化を送り込むわけです。国家戦略の下に国のためにやっているんだという単純な論理です。

ところが、日本の芸術界はそういう論理をとっていないところに大変な難しさがあるというのが、今直面しているところだと思います。その他の論理というのは、ほとんど全部言えることは、金が欲しい。では何か理屈をつくろうということでつくられている論理で、それぞれなんか怪しい。本当にそうなのか。後からつけられた論理で論議をされているので、やってもやっても本音は金が欲しい。そのために何か理屈をつけるのならば、そんな理論を突っついたって始まらないということでして、後づけの理論は理論的に攻めても実は何の意味もないということです。

現在の日本の文化政策というのは、国威発揚という考え方をとらない。新しい論理を生み出すということに非常に苦労している。

政策というのは確かに行政というレベルでとらえるなら、行政のやることが政策ですが、NPOというものを主に考えるときに、NPO自身が自分たちの方向性を決める政策というものも、ある意味で政策なんだというふうに、市民自らの政策なんだというように、今のところ徐々にですが考えられてきていると思います。

これは要するに後づけの論理でなくて、NPOという市民のレベルの芸術がいかにあるべきかというのを考える。

ただいい点は一つだけありまして、省庁の中でシンクタンクや研究機能というものに関しては、厚生省でも通産省でも民間はかなり難しいと思うんですが、文化庁に関してはあまりレベル差がないというか、むしろこっちの方が相当よく知っているということがあって、民間で理論をつくると割と太刀打ちできてしまうという良さがある。

この前、こういう論議がなされました。なぜアートにお金を出すのかということに対して、これも恐らく後づけに近いなと思うんですが、アートには二つの側面があると考えられています。

 

 

 

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