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3. 質疑応答

 

司会 どうもありがとうございました。パキスタンのクーデターに至る背景、そして今後について政治、国際政治、社会、経済、非常に多岐な方面から端的にお話ししていただきまして、どうもありがとうございました。何かご質問等たくさんあるかと思いますので、是非積極的にご発言いただけたらと思います。

A 初めてのセミナーだとおっしゃっていましたが、非常によくわかりました。というのは、私3月までカラチにいました。ナワズ・シャリフの政治経済をつぶさに見てきたんですが、数点、ポイントと補足をしたいのです。

第1点は憲法改正でクーデターしか残されていなかったと、法的にはそうなんですが、私がいたちょうど1年ぐらい前ごろから、小田さんがメンションしていない点は、腐敗だけじゃなくて、ナワズ・シャリフの汚職がものすごく激しかった。

例えば、アメリカに援助を要請しに行く飛行機に一族を全部乗せて、自分の子供だけでなく、弟の子供まで全部入れて、リムジンを50台用意させたとか。詳しいことを言うときりがないですけれど、それはもう一つ大事なことがある。司法の最高裁長官を自分の息のかかった人に取り換えたし、最高裁の判事までも自分の係争事件に関する人の買収に手を伸ばしたと言われる。それで今回だけは、ナワズ・シャリフをとにかく引きずり降ろさなければならない、そういうコンセンサスが1年ぐらい前から整いつつあった。それで、コンセンサスを経て、軍部から圧力をかけて自発的に辞任するか、むしろその時点では自発的を望んでいたのです。

あと遠因と近因と分けていきますと、近因はナワズ・シャリフ自身がムシャラフを逮捕しようとして、空港の着陸を認めさせなかったということにあったのですが、遠因としては徐々にコンセンサスが整いつつあって、自発的辞任に追い込むか、クーデターとなるかでした。

カラマート参謀長は非常に立派な人で、私も知っていますが、なるべくクーデターはとりたくないということで、その前にナショナル・セキュリティー・カウンシル、NSCの権限を強化して、軍人も参謀長も入れて、国政全般に軍人の意見も反映させるようにという意見を出したのです。ナワズは、それは非常に困るということで、ムシャラフを参謀長に任命したのです。ムシャラフは、ムハジール、つまりインドから親父さんの代に移ってきた人で、しかもカラチにいる人で、軍人の中で傍系といえば傍系なんです。

 

 

 

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