こうしたトランスナショナル・シビルソサエティーの役割を調査、そして分析してきた結果、私が実感しますのは、トランスナショナル・シビルソサエティーの成功の鍵は、あくまでも各々の国における市民社会の実績の積み上げでしかないということです。先ほど来申し上げているように、ネットワークを通じてそれぞれのNGO、例えば日本のNGOがそうであったように、NGOがエンパワーし、そして力をつけていくことができるわけですが、あくまでもその国のなかでNGO、市民社会が力をつけていかない限り、力強い市民社会がない限り、市民社会同士が連帯し合っても大きな成果を生むことはできないわけであります。
従いまして、今後の国際的課題の取り組みにおきましては、日本の市民社会の成熟、これが非常に大きな課題だと言えると思います。そして、日本の政府や民間企業が、国際問題や地域経済、そして国際経済に責任を負っているのと同様に、日本の市民社会も国境を越えた共通の課題、先ほど来申し上げている共通の課題に対して、積極的に行動していくよう、期待も今後ますます高まってくるというふうに言えると思います。
少々長くなってしまいましたが、以上で私の話を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
