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特に、環境や人権、軍縮といった問題のように、国家単位では解決を図れない地球規模の問題においては、こうした新たなシステムづくりが不可欠であるという認識が、国を越えた市民社会のなかには共通して存在しているというふうに言えると思います。

少々長くなってしまいましたが、最後に日本の市民社会のことについて少々お話しして終わりたいと思います。今後の国際舞台のなかにおいて市民社会が影響力を強めていくということは否めない事実であるわけですが、それが日本については果たしてどうなのかということです。昨年NPO法案が成立しまして、そのときにも議論になりましたが、日本の市民社会というのは、欧米に比べますとまだまだ未成熟である。それには歴史や文化、政治風土といった違いに起因するというようなことが議論されているわけで、ここでその詳細に踏み込むことはいたしませんが、日本の市民社会に課されている課題には非常に重いものがあるということを認識しています。

と申しますのは、例えば私たちJCBLでもそうですが、今年3月1日に地雷の条約が発効したのを受けまして、5月にモザンビークのマプートで第1回締約国会議を開催します。これに合わせましてICBLも総会を開催します。その際にモニタリング・リポートというものを発行します。モニタリング・リポートというのは、いわゆる政府がいかにこの条約義務を履行しているかということを監視するためのりポートでして、世界80カ国以上のリサーチャー、調査員がこのリポートをまとめました。

今日お配りした資料のなかにこれは何だろうと思っていた方もいらっしゃるかと思いますが、4ページのこういった英語の資料があるかと思います。これは昨日ICBLのほうから送られてきましたモニタリング・リポートのプレスリリースです。このなかにちょっと書いてありますけれども、このリポートは結局1,100ページ、重さにすると1冊2.5キロということですから相当のボリュームだと思いますが、これをまとめたわけです。

これには当然日本も含まれており、私たち地雷廃絶日本キャンペーンが担当してまとめました。もともと私たち地雷廃絶日本キャンペーンは、全員が全くのボランティアという団体ですので、ICBLが要求してきた項目をすべて網羅して、包括的なリポートを提出するのは非常に厳しいものがありました。個人個人の力はもとより、情報公開法というものが存在しない日本では、そもそも情報すら入手できないということがあったわけです。

 

 

 

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