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実際にこれはIMFの方が日本に来られたときに質問したのですが、あまり満足のいく回答が戻ってこなかったということで、さほど重要でないと思っているようです。また、こうした批判に対してIMFがどのような解答を用意しているかということを、私も分かっているのですが、私の考えではやはり考慮が足りないと思います。

それから構造改革の順序付けをみますと、金融部門の構造改革が先にあって、企業改革のほうが遅れています。それから企業改革といいましても、中心は国営企業改革ということです。民営化等を中心とする国営企業改革とそれから対外債務を抱えた大企業の債務のリスケが中心となっています。そうしますと、中小企業とかはどうなっているかということです。失業者はたくさんいます。そういう人たちが新しく企業をつくるときに、どうやって資金を調達するのかという問題があり、そうした問題を考慮した順序付けが適切に実施されていないと思います。その結果、やはり貸し渋り現象というのは長期化してくると思います。

それから次のポイントですが、国内信用貸出は引き締めすぎだと思います。特にこれは韓国についていえると思います。その根拠というのは幾つかありますが、一応ここでは韓国については、国内信用貸出は引き締めすぎているとだけ言いたいと思います。その結果、輸出なども、実質為替レートが低下しているのだからもっと伸びるはずなのにそれほどの伸びていないとか、国内経済活動を阻害していると思います。

それで、最後は今までの話と関連するのですが、構造改革の不適切な順序付けについてもう一言申し上げたいと思います。一例が、よくご存じだと思いますが、インドネシアでは預金者保護制度が不備でした。そうしたなかで銀行を閉鎖すれば、預金引出しなどの金融パニックが起こってしまったという経緯があるように、もう少し民間部門の人たちと話をして情報を、きちっと得て政策を作成していく必要があると思います。基本的にはやはりプログラムというのは性急に作りすぎてはいけないと思います。(拍手)

 

 

 

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