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司会者 それでは始めさせていただきます。天気の関係でちょっと遅れている方もいらっしゃるようですが、今日はご案内しましたように京都大学の白石隆先生においでいただきました。もうご紹介の必要もないと思いますけれども、インドネシア、東南アジア問題についてのまさに第一人者でいらっしゃいます。

6月選挙に向けてインドネシアの展望ということで、できるだけ幅広くお話をいただいて、あとで議論をさせていただきます。いつもどおり40分から45分ぐらい先生にお話をいただいて、あとでディスカッションをするということで始めさせていただきます。では、白石先生よろしくお願いいたします。

 

2. 講師報告

 

白石 どうも白石でございます。ちょっと初めに雑談めいたことから、入らせていただきます。私2月の後半に2週間ばかりアメリカのワシントンに行っておりまして、そのときに、いい機会だからというのでアメリカの政府の中で対東南アジア政策を担当している主な人全員に会いました。財務省、国務省、国防省、それからナショナル・セキュリティー・カウンシル、およびIMF、世界銀行、それから議会ですね。

そのときに、面白いというか、これは困ったなということがございまして、それは何かというと、1つはオルブライト国務長官に会いましたときに彼女自身が言ったことなのですが、あと2年しかこのアドミニストレーション、クリントン政権というのはない。特にオルブライト国務長官はアジアについてこれまで何の業績もないということで、ついてはインドネシアをアメリカ政府からみて民主化の4つのプライオリティ・カントリーズの1つに任命した。それについてはお金もつけた。どのくらいお金をつけたのですかと聞いたら、選挙の支援のために3,000万ドルぐらいつけたということで、大した額のお金ではないのですが、そういう話でして、インドネシアに対してものすごく関心がある。

それでは何に関心があるかというと、基本的には2つございます。1つはこの6月の総選挙が、インドネシアがいわゆる底を打ってもう一度再建の道に入っていけるかどうかの鍵になる。その場合に誰が大統領になるか、あるいはどの政党が勝つか。当面重要なことではないけれども、スタンレー・ロス国務次官補の言葉をそのまま使いますと、リーズナブリー・フェアー・アンド・フリー・エレクション、だから決して完璧に自由で公正な選挙が行われるなんて考えないけれども、リーズナブリーに自由で公平な選挙が行われるということが鍵で、もしこれが実施されなければ、国内的に国民の政府に対する信頼が回復されない。そうすると現在のような暴力、衝突はこれからもずっと続くだろうし、国際的な信頼も回復されないから、経済の再建のめどがつかない。

 

 

 

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