日本財団 図書館


タクシー事業の需給調整規制の廃止

運輸省は、1996年12月5日、「今後の運輸業制における需給調整の取扱について」を発表し、同省が所管する運輸事業全般に関する需給調整規制の廃止を決定した(タクシーに関する規制緩和の項参照)。さらに翌97年3月28日に閣議決定された「規制緩和推進計画の再改定について」において、タクシーの需給調整に関し、1997年度から需給調整基準について、過去5年間の実績に基づき算出された基準車両数に一定割合(97年度は1割、実施状況を見ながら次年度以降さらに緩和)を上乗せする透明化及び弾力化措置を講じ、段階的緩和を進めるとともに、需給調整規制の廃止につき、それに必要となる安全の確保、消費者保護等の措置を確立した上で、所要の法改正を行い遅くとも2001年度までに実施することとし、その前倒しに努める、とされた。これを受けて、需給調整規制の廃止に向けた具体的な制度設計について運輸政策審議会自動車交通部会に諮問され、1999年4月上句を目途に議論が行われた。

 

事業区域の拡大・統合

事業区域とは、タクシー営業が許される地理的な範囲である。事業免許はこの区域ごとに交付され、需給調整規制の単位となる。タクシーは免許交付を受けた事業区域内で完結する輸送、また、起点・終点の一方が事業区域に含まれる輸送を引き受けることができる。事業区域が設定されている理由は、車両の配置されている営業所に対する帰属性を確保し、運行管理および整備管理が適正に行われること、運転者の地理の熟知度を確保することであるとされている。これに対し、事業区域の設定に関しては、(1)都市の発展、外延化により輸送需要の距離が伸び、事業区域を超える輸送が増大していること、(2)需給の時間的な波動に対応するのが難しいこと(事業区域がある程度広ければ、特定の時間、特定の地点での多大な需要に弾力的に対処できる)等の理由から、拡大・統合の要請が示され、1997年3月閣議決定の規制緩和推進計画において、1997年度から統合・拡大に着手し、3年以内に現行の事業区域数1,911(基本的に市町村単位)をほぼ半減させることとされた。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION