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07 内航海運

 

貨物フェリー(自動車航送貨物定期航路事業)

1950年代後半に、自動車航送(フェリー)輸送が急速に進展した際に、一般旅客定期航路事業による自動車航送の健全な発達に影響を与えることが懸念された。そのため1960年に、貨物定期航路事業のうち自動車航送を行なうものを自動車航送貨物定期航路事業(通称「貨物フェリー」)として、海上運送上新たな事業類型を設けて需給調整規制の対象をしたものである。貨物フェリーボートは、効率的な物流の促進に資する公益性の高い公共輸送機関として、内航RORO船とならび重要な存在である。しかし、需給調整規制が廃止される場合、自動車航送部分についての規制も廃止される。よって貨物フェリーの事業類型を維持する必要性は失われ、新たに内航海運業として位置づけられることが妥当である。

 

内航海運の船腹調整事業の見直し

ここでいう船腹調整事業とは、現在実施されているスクラップ&ビルド方式による船舶建造方式を意味する。これまでは、船主救済などの観点からこうした方式が採用されてきた。しかし、輸送効率化、及びモーダルシフトの推進は、利用者利益の実現等の観点から内航海運が緊急に取り組むべき課題である。そこで以下の点が当面の措置となり、同事業は暫定措置事業と呼ばれる。(1)モーダルシフト対象船種の寄港地に関わる制限、及びセメント副原料であるフライアッシュ等の輸送にセメント専用船を使用する場合の制限は、直ちに緩和する。(2)鉄鋼、石油等に関わる長期積荷保証船については、日本内航海運組合総合会と荷主団体との協議結果を踏まえ、船腹調整事業の弾力的運用を行なう。(3)船腹調整事業については利用者ニ一ズを反映できるよう、荷主団体の要望を十分に把握し、引当比率の設定、外航船臨時投入につき弾力的運用を行なう。モーダルシフト対象船種については、速やかに船腹調整事業の対象外とする。上記に加え現在の船腹調整事業については、内航海運事業者の同事業への依存を計画的に解消し、内航海運業の活性化を図る。

 

 

 

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