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上限価格制

1997年1月1日から実施されている新しい日本の旅客鉄道運賃設定方式で採用されている一つの考え方である。新しい旅客鉄道運賃制度では(1)総括原価方式の下での上限価格制の導入、(2)ヤードスティック方式の強化、(3)原価計算方式の改善、(4)手続きの簡素化、(5)情報公開の促進という五つの改善が図られている。ここでの総括原価方式の下での上限価格制は総括原価を上限として認可され上限運賃の範囲内であれば、自由に運賃が変更できるという制度であり、上限値を物価指数等のデフレーターに基づいて定める純粋なプライスキャップ制とはその意味で異なる。1998年10月末現在で38社5,978区間で認可された上限値を下回る運賃設定がなされている。

 

総括原価法式

公益事業のサービス供給に要する「適正な原価」に「適正な事業報酬」を加えて算定される料金決定方式のこと。ここでの「適正な原価」とは効率的経営下での総費用を指し、具体的には営業費、減価償却費、諸税から構成される。一方、事業報酬は事業の経営基盤の維持と健全な発展に必要な資本調達上のコスト、すなわち資本コストのことであり、自己資本対するコスト(利益)と他人資本に対するコスト(支払利子)から構成される。この「適正な原価」と「適正な事業報酬」を加えた総括原価が当該事業であげるべき必要総収入額に等しくなるように料金水準が決定される。尚、事業報酬の算定には費用積み上げ方式とレートベース方式とがある。

 

 

 

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