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関西国際空港の第二期事業と上下分離方式

関西国際空港(関空)の第二期事業は第二滑走路と第二ターミナルからなる。第一期事業と比べて、建設費用が増大することに加えて、収入は二倍にはならないため、収益率は悪化することになる。このため、新しい資金調達方式の導入が必要となった。先ず、第二期事業を二つに分け、それぞれ異なる資金調達方式を採用した。滑走路やターミナルといった通常の空港設備を上部と呼び、既存の関西国際空港株式会社の担当した。この部分に対しては、国が総建設費用の20%を出資するとともに、地元民間企業が10%の出資を行うことになった。残りの70%は有利子で調達される。通常の空港用地調達にあたる埋め立てを下部事業と呼び、その事業主体として関西国際空港用地造成株式会社を新たに設立した。同社には、国が総事業費の20%を、地方自治体が10%を出資するとともに、無利子貸付を行うこととなった。無利子貸付の額は、国が総事業費の6分の1、地方自治体が12分の1である。こうして、同社の有利子資金調達額は総事業費の45%に抑えられている。

 

中部国際空港の整備

中部国際空港(中部空港)は、日本で三番目に大きい名古屋都市圏(中部圏)に建設が計画されている国際空港である。中部都市圏に航空サービスを供給している名古屋空港(小牧空港)への需要は21世紀初頭にその処理能力を上回ると予測されている。1998年予算において、中部国際空港を第一種空港(国際空港)として位置付ける措置がなされ、プロジェクトが推進されることになった。また、第七次空港整備計画においても同空港は「新三大プロジェクト」として認定されている。同空港の財源調達方式は、関西国際空港のそれと類似している。中部国際空港株式会社を設立し、国、地方自治体および民間企業が出資および無利子貸付を行う。総建設費用の40%が無利子資金となる。中部国際空港株式会社は関西国際空港株式会社よりも民間の経営能力をうまく活用するであろうと期待されている。

 

 

 

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