日本財団 図書館


連絡を入れるとスタッフが訪問し、住宅の改造や修理、見積もり、デザインなどについて無料でアドバイスし、信頼できる事業主も紹介する。資金が不足していれば補助金の所在をアドバイスし、工事が始まれば終了まで見届ける。簡単な作業については手持ちの作業スタッフを派遣しており、低所得者には労賃を無料にしている。このサービスの中で行う訪問調査では、高齢者が権利として請求できる各種給付手当を見落としていないか、といったチェックも行っている。1998年度だけをみても、このチェックで約12万ポンド(約2000万円)の給付受給の見落としが発見できている。「住宅安全チェック」は火災の危険性などを訪問チェックするサービスで、国の保健局と県の社会福祉課の助成を受けてつい最近実験的に開始された。

「カウンセリング」はエイジコンサーン本部の助成を受けて1997年から始まっている。55歳以上が対象で、地元のWarwick大学のカウンセリング学科との協力事業である。カウンセラーの資格をもって上級コースを目ざす12人の学生が現場に入り、WACのボランティアのトレーニングも兼ねて一緒にカウンセリングを行っている。「友人つくり」はWACが自主財源で10年間ほど前に始めた事業で、主に農村地域で孤立する高齢者や高齢者ホームの入居者をボランティアが訪問するというサービスである。1998年からは農村部が多い北部の市町村とのパートナーシップ事業に発展し、その地域での独居老人へのボランティア派遣が行われている。この「友人づくり」と平行して取り組まれているのが「農村孤立者への支援」で、県の図書課との協力により、高齢者にボランティアが図書を届けながら高齢者の様子をチェックし、必要であれば医者や看護婦、社会福祉課に連絡するというシステムになっている。

「創造的な回想活用法」は人生の思い出を引き出し、それを使って新しい活動機会としたり、友人を作ったり、精神的な刺激を与えたりしようとするもので、県内12ヶ所の高齢者ホームで実施されている。WACでこれを始めたのは、病院の長期療養ベッドが少なくなり、その分高齢者ホームに痴ほう症をもつ高齢者が増え、ホーム内での活動内容を創造的にし、またそれを担当するスタッフ研修が必要になってきたためである。WACでは現在のところ自主財源を使って行っており、アートやアロマ、園芸療法などのセラピストに講師になってもらい、ボランティアや高齢者ホームのスタッフ研修も同時に行っている。この実験成果をもとに、今後はスポンサーを探しながら、他の高齢者ホーム、さらにデイセンターなどにも広げていく計画になっている。

「アクティブ・エイジ」はエイジコンサーン本部が全国的に進めているキャンペーンで、WACでは1998年から取り組みを始めた。高齢時代を積極的、健康的、生産的に生きようというのがキャンペーンの主旨で、「健康的なライフスタイル(Ageing Well)」と「世代間交流による社会貢献(Trans Age Action)」を目ざす2つのプログラムが動いている。前者は専門スタッフと特別に研修を受けた約30人のボランティアが中心となり、健康についての情報提供やニューズレターの発行、県内15ヶ所でのヘルスクラブの運営などを行っている。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION