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第2章 フランスの高齢者福祉医療対策

 

フランスは早くから高齢化社会となったが、本格的な高齢者対策がなされるようになったのは、高齢者問題研究委員会のラロック報告書(1962年)が出されてからである。この報告書にみられる高齢者の自立した生活を支援するという理念は、現在でも高齢者福祉医療政策に引き継がれている。

フランスの65歳以上人口は930万人であるが(1999年)、その大半が自宅で生活していることから(94%)、高齢者福祉医療政策では全国的に在宅維持のための対策を優先させていると言える。また今後の人口高齢化によって、さらに増加すると予測されている自立を失った高齢者のための対策が重要課題の一つとなっている。

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地域の福祉医療に関する改善計画などは主に県レベルで行われるが、高齢者に社会福祉サービスを直接提供しているのは市町村レベルの福祉事業センターである。地域内での高齢者福祉政策に関しては、県の高齢者医療福祉プラン、退職者・高齢者県委員会が大きな役割を果たしている。またフランスでは、在宅維持支援サービスの提供、高齢者のための施設の運営、高齢者関連組織などには、自治体や1901年協会法に基づく非営利目的協会(NPO)が多く携わっていることが特筆される6)

 

図表9:年齢グループ別高齢者人口 (1990年)

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出所:Insee

 

 

 

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