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社会参加システム推進グループ

 

文部省委嘱事業・シンポジウム

「高齢者の生涯学習と社会参加」を開催

 

まだ、蒸し暑さの残る彼岸前の9月20日、文部省委嘱事業のシンポジウム「高齢者の生涯学習と社会参加」が開催されました。世界に類を見ないスピードで高齢化の道をたどる日本。とかく暗いイメージを抱きがちですが、高齢者世代が生涯学習を生かしてボランティア活動をするなど、社会の新しい活力となっている例も多くあります。生涯学習の成果をもとに社会参加の呼びかけを行ったシンポジウムの様子をお知らせします。

 

財団としては「高齢者の生涯学習と社会参加」を世に訴えたいと考え、文部省からの委嘱を受けて、このシンポジウムを企画しました。

さて内容としては、まずは文部省社会教育課長の太田和良幸氏より高齢社会対策基本法に基づく文部省の高齢者施策の概要についてご説明いただきました。

 

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山谷えり子氏と堀田理事長のトーク。山谷氏のエネルギッシュな語り口に、会場はひきつけられました。

 

次に、サンケイリビング新聞社編集長の山谷えり子氏と理事長堀田力による高齢者の生涯学習と社会参加についてのトーク。「今なぜ高齢者の生涯学習か」「生涯学習の楽しさ」「生涯学習を生かす社会参加」といった流れで、山谷氏からはお母様の話やアメリカ滞在中の体験談、理事長からは同じく身内の闘病時の話や草の根団体の女性リーダーの話など、時にはジョークも飛び交うなごんだトークとなりました。参加者の方々からは「具体的でわかりやすかった」「楽しく多くを学んだ」といった感想をいただきました。

次に生涯学習をべースに社会参加を実践されている方々、これをコーディネートされている方々をパネリストにお迎えしてのパネルディスカション。コーディネーターは財団の和久井渉外代表。

福岡市で『子ども劇場』の活動と地域で老人ホームをつくる計画に取り組んでおられる古賀清恵氏からは子ども劇場活動から住民参加による老人ホームづくりの運動に至る経緯、その過程でのご苦労、子供たちがかかわることのできる老人ホームヘの夢などについてお話しいただきました。

企業を退職後、神戸市のNPO法人コミュニティ・サポートセンター神戸でボランティアとしてご活躍の坂本登氏からは最初にこの世界に入った経緯、活動の中で感じた理想的なNPO(非営利団体)をつくりたいという熱い思い、さらには行政とのかかわり方についても具体的な話を語っていただきました。ボランティアは義務ではないが継続する責任があるとの氏のコメントには実践者のみが語れる何か重みのようなものを感じさせられました。

半田市で子供から高齢者までが参加する総合的地域スポーツクラブの運営にかかわっておられる榊原孝彦氏からは学校も含めた地域に一体として動いてもらう、また、参加者に主体的に動いてもらうことのむずかしさ、クラブライフで得られる出会いのすばらしさや、そこで生まれる一体感について、お話しいただきました。

財団法人児童育成協会こどもの城の国際交流部長であるテリー・スザーン氏は創造力、表現力、心の教育などの講演活動も行っている方で、のっけからの場内一帯に呼びかけての、指運動パフォーマンスにはびっくりされた方も多かったと思いますが、会場の雰囲気をやわらげ一体感をかもしだしたのはさすが。人間の素は表現、子供のころから表現力や創造力を育むことの大切さ、高齢者から上手に学ぶことの大切さにつき、語っていただきました。さらに米国においては生涯学習や社会参加が、ごく当たり前のこととされている事実、ボランティアは義務ではないが、結果として責任が伴うことなどについても触れていただきました。

参加者からは、「それぞれが違う内容事例で参考になった」「体験談で説得力があった」等々のうれしい感想をいただいた一方、「高齢者に的を絞ったほうがよかった」「パネリスト間の意見交換が欲しかった」といった意見をいただきました。

 

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パネルディスカッションの模様。左からテリー・スザーン氏、榊原孝彦氏、坂本登氏、古賀清恵氏、コーディネーター 和久井良一。

 

 

 

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