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演劇を通して、子供たちに生きる知恵と勇気と感動を与えたい

 

東京から東北新幹線で約一時間。雄大な那須岳の眺望、塩原山峡を吹き抜けるさわやかな風、開墾地の広大な田畑とそれを区切るくぬぎ林…。『らくりん座』は、自然の懐に抱かれた那須野ケ原の一画にある。

現在、ここには母屋のほか、劇団事務所、稽古場、そして劇団員の宿舎、野外ステージなどがあり、下は一九歳から上は六〇歳までの劇団員一三名が、共同生活をしながら県下小中学校への巡回演劇教室を中心とした演劇活動を行っている。昨年の公演数は二三〇ステージ。通算での公演数はすでに一万回を優に超え、観客動員数は五六〇万人にも上るという。「同じ学校を回ることが多いため、毎年、新作を作っています。子供向けだからといって手を抜くことは決してしない。むしろ、子供にこそ、芸術性の高いものを見せ、美しいものを美しいと感じる心や、正義を正義と感じる心を育ててあげなければならないと思うんですね。だから演目はすべてオリジナルだし、劇中曲もオリジナル。お陰で制作費がかさんで、台所はいつも火の車なんですよ」

浅野さんは、そう言って華やかに笑った。

 

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稽古場外観

 

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道中には「らくりんざ」の標識が。

 

 

 

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