『笑ってバイバイ在宅介護がくれたもの』
村山メイ子著
(東洋出版 本体定価1400円)
高齢者の生きがいボランティア活動をする著者が、痴呆の進んだ父を引き取り、共に暮らした15か月問の介護の記録。介護は決して美談だけでは語れない。絶望と希望の入り交じったさまざまな壁にぶつかりながら、介護を通して、家族のあり方や周囲、そして何よりも介護をされる父の姿から学んだ多くのことがユーモアあふれる語り口で述べられている。(編集部)
「家の中に入ると息子が言った。
『お母さん毎日大変やなあ、おじいちゃんって突然変わるなあ。俺ら小さい時も育てるの大変やった?』
『うん。いろいろと大変だったよ』
『俺らが小さいときとどっちが大変やった?』
『さあね。自分の子供と親はまた立場が違うから比べられへんわ』
父がこの家に来たことは息子にとって何よりの教育になっているのだった。」(本書「やっぱり嫌だあ」より抜粋)
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