普段着の近隣型助け合い講座 No.11
「わかるふくしネットワーク」主宰
木原 孝久
「放っておいてさん」対策のカギは「見込まれた人」
「近隣での助け合いはむずかしい」と訴える人の言い分の一つに「私がかかわろうとしても相手が受け付けない」があります。親切に相談に乗ってあげようとしているのに、相手が心のドアを閉じてしまうのでは仕方がない、というわけです。
民生委員などは必ずこういうケースを一つや二つは抱えているはずです。私は「放っておいてさん」と名付けました。周囲からの助けの手を拒否する人のことです。こういう人への対応策としてこのシリーズでも「こじあけ屋」さんを取り上げました。地域には、閉じこもった人の懐の中に強引に押し入る人がいるものなのです。それで本人にも憎まれないというのだから、これはもう天性の腕としかいいようがありません。ではそういう特殊能力を備えた人が足元にいなかったらどうするのか。
当たり前のことながら、その「放っておいてさん」だって生命は惜しい。としたら、自分の悩みを打ち明ける相手が一人や二人はいていいはずだと想像されます。実際に「放っておいてさん」が何となく悩みを打ち明けている人を探してみると、確かにいることがわかりました。東京の豊島区で高齢の女性が餓死、というショッキングな事件が起きました。