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さわやかかわら版 その9

昨年の自殺者急増。遺児が約一万二〇〇〇人も…「あしなが育英会」が独自の調査

 

昨年一年間に両親のどちらかを自殺で亡くした遺児がおよそ一万二〇〇〇人…。「あしなが育英会」(東京・千代田区)は独自の調査結果を発表し、今後積極的に支援していく方針を明らかにした。

警察庁の調査によると、九八年の自殺者は三万二八六三人と初めて三万人を超え、前年に比べると約八五〇〇人の増加。そのうち三〇歳から五九歳のいわゆる働き盛りとされる年代の自殺者が約四五〇〇人も増え、家庭内に大きなダメージがあろうことは想像に難くない。動機を見ると、経済・生活問題が前年比で一・七倍と急激に増えているほか、勤務問題が一・五倍と、昨年の不況が多大な影を落としていることがうかがえる。

社会の大きなうねりの中では、一人の人間は非力かもしれない。しかし、その人間同士の小さな支え合いやちょっとした思いやりによって、素晴らしい力を生むこともできる。さまざまな不安材料を抱える世の中だが、ふれあい社会として再生し乗り切ることが課せられているのではないだろうか。

 

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(1999年10月23日付日本経済新聞)

 

 

 

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