美容ボランティアの風景。
一八七二年(明治五年)、わが国初の洋風調剤薬局として銀座に誕生した株式会社資生堂、同社の社員は日常活動の中で困ったときや迷ったときには「美意識」という価値軸を大切にしながら行動するという。
企業文化部西野正浩課長にお会いした。「企業文化」という言葉が頻繁に飛び出す。不況の風が吹く今日、「企業文化」を語れる企業はそう多くはないだろう。西野課長はその理由をこう語る。「初代社長福原信三は経営と文化の良きバランスを常に考えていました。商品に美意識があるように経営にも美意識がある、と絶えず唱えていたんです」
同社の社会貢献活動は事業を行う過程で培ってきた固有の技術、ノウハウ、資産(これらを「企業文化」と呼ぶ)を活用する形で自然に行われている。それが最も長続きし、しかも無理がなく効果が上がる方法と考えているからだ。何かをしなければならないと考えて無理にやるのではなく、創業時から自然に培われてきた、「企業文化」の土壌から自然に出てきたものを行ってきた。具体的には次の四つの領域を中心に活動している。
1]福祉・地域社会活動…●福祉施設における「身だしなみ講座」の開催、●福祉施設へのせっけん、シャンプーなど商品の提供など。
2]学術支援活動…●資生堂皮膚老化研究ファンドの設立・運営、●日本皮膚科学学会基礎医学研究費助成制度を通した研究支援など。
3]サクセスフルエイジング活動…●加速する高齢社会に向けて「美しく年を重ねるために」をテーマにフォーラムを開催、●「サクセスフルエイジングセミナー」の開催など。
4]芸術文化支援(メセナ)活動…●現代美術を中心に幅広いジャンルを対象とし、先進性、実験性を尊重、●女性アーティストの創作活動の応援など。