近隣型ふれあい活動の事例集には、助けてほしい人がいて助け合いの輪ができている場合が多い。その場合には、助けられたいという人の具体的なニーズから、どのように助け合うかの形が具体的に決まってくるし、助けようとする人の役割も決まりやすい。何かお役に立ちたいという人は多いのだから、形が決まれば人は動き出す。この道の専門家である木原孝久さんは、早くから、「助けられ上手さん」が中核となるという発見をしておられる。
ただ、問題は、「助けられたい人」を発見するだけでは、活動ははじまらないということである。冒頭に述べたような農村部であっても、継続的な助けを求めるまでの風習はないであろうし、都市部では、ちょっとした助けですらこれを近隣の人に求めるには大きな心理的抵抗があるという人が、むしろ多数派であろう。
だから、この手法の最初の問題は、「助けられたいけど助けてと言えない人に、どのようにして助けてと言ってもらうか」ということであろう。答えは、「助けて」と言うのでなく、「助け合おうよ。私もお役に立ちたい」という言い方をしてもらうことであろうが、その言葉を誰がどのように引き出していけばよいのか。
そのやり方(いくつもあると思う)が見えてくれば、近隣型ふれあい活動を進めるマニュアルが書けるのかもしれない。
そういう知恵は、実は、地域のあちこちに潜んでおり、案外いい形で生かされているのではないかという気がする。
どうかそういう知恵を私たちに教えてほしい。私たちは助けを待っている。