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たとえば、以前、お母様が腎臓を悪くして透析を受ける状態になり、家族での介護疲れから援助に伺っていたご家庭があったんですね。その後、お母様は寝たきりになってしまったんですが、微力ながらもお役に立てたのでしょうか。介護の大変さを家族の団結で乗り越え、今は、とても穏やかな心でお母様を看ていらっしゃる。その結果、援助は必要なくなって会は離れたものの、今でも、たまに私が顔を出すととても喜んで、“まずは、ばあちゃんの顔を見てやってくれ”といって、部屋に上げてくださる。そういう信頼関係がご家族との間につくれたことがうれしいし、これが私たちの目指している助け合い活動の姿でもあるんです」

営利も利害も関係なく、一つの大家族のように互いを心配し合い、必要があれば助けたり、助けられたりが気軽にできる地域づくり。そして、年を取っても最後まで安心して暮らしていけるそんな社会をつくることは、自分たちのためでもあると強調する丹さん。従って、社会的な信用を得るためのNPO法人格の取得は視野に入れているものの、介護保険の指定業者になることは、今のところ考えていないとも。

「それよりも、たとえできることは少なくても、かかわった人たちとの信頼関係を築き、一歩ずつでもいいから、着実にふれあい社会づくりの実現に向けての基盤を固めていきたい。それが私たちの使命だと思うんです」

 

1992年6月

長寿社会文化協会(WAC)主催のヘルパー研修に参加。

1994年8月

さわやか福祉財団主催のリーダー研修会に参加。

9月

湯沢市主催の介護講座に参加。

11月

介護講座の修了生5名で、特別養護老人ホームへの施設ボランティアを開始。

1995年3月

在宅福祉サービス団体『ふれあい天童』訪問。

4月

団体設立の決意を固めて準備作業を開始。書類の作成、市、社協へのあいさつ、説明会などを行う。

7月25日

『湯沢あかねの会』発会式。

 

秋田県湯沢市に本拠地を置く『湯沢あかねの会』は、「まごころと誠意」をもとに在宅高齢者や障害者、困難を抱えた家族など今手助けを必要とする人(利用者)に、手助けできる人(協力者)が生活の援助サービスを行う、会員相互の助け合い団体。主なサービス内容は、身の回りの世話・食事の支度・掃除・洗濯・買物・通院援助・話し相手・車イス介助・産前産後の手伝い・初歩的な介護など。会員になるためには年会費3000円が必要で、利用料金は1時間600円(交通費別途)。サービスを提供した協力会員は1時間につき500円の謝礼金を受け取る(100円は事務手数料)。活動時間は午前9時から午後5時まで、時間外については応相談。(→連絡先は最終頁)。

 

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96年9月、かんぽ介護講座と映写会。

 

 

 

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