日本財団 図書館


013-1.gif

 

実は介護福祉士やヘルパーができたときに看護の団体が反対したんですね。参考書を書くのも協力しなかったから、出版社が困って私に言ってきて、私が指名して書いてもらったんですよ。

堀田 痰の吸引などでも、医者や看護婦だけ、他はだめだとか言って技術はあっても手を出せない状態。このままではいくら住環境が整ってもとても在宅医療が広がりません。

日野原 素人だからだめという考え方が間違いなんですよ。学校を出た出ないじゃなくて、まず安全にできる人かどうかが基本でしょう。私の知ってる人で、三〜四年の間、食道に栄養のための管を入れっぱなしのご主人が気の毒で食事毎に抜いてまた入れてあげていたんです。苦しまないように上手にやってらしたんですよ。ところがある公立の病院に二週間入院したときに、やり方がまずくて気管に栄養分が入って肺炎で死んでしまって。あんなに可哀相だったことはなかったですね。

堀田 家族なら本当に心から気を使って安全に慎重にやってあげようという思いに自然になるでしょうし、ボランティアさんだってそうですね。やさしい気持ちがまず根底にありますから、一生懸命技術も身に付けて、相手のことを考えてやってあげようと。そう思う人はいっぱいおられますよ。

 

健康への投資。

自らの健康は自らの手で

 

日野原 今の医療を総じて見てみますとね、don't、つまり何々をしてはならない、そんな指示ばかりでしょう。たとえば食事でもこれは消化が良くないとか、これは塩分が多いとかね。私はよく言うんですが、年を取った高血圧の患者さんにはあんまり塩気のことは言いなさんなよと。味は濃厚でも若いころと比べれば食事の絶対量は少ないんだから、濃くても同じことなんです。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION