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五年前からは、「NECこどもネイチャーキャンプ」をはじめた。都内の里親家庭で暮らす子供たち約六〇人を招き、社員をお世話係として三泊四日のキャンプをする。毎年二〇人の社員が夏休みを利用してアウトドアの知識の事前研修を行ったあと参加してくれる。すでに一〇〇人の社員が体験したことになる。

「最終日、子供たちを帰したあとは感動してみんな泣いてしまいます。ボランティア活動を通しての心と心のふれあいから生まれる感動というのは、普段の会社生活では絶対味わえないものですね。いろんな部門のいろんな年齢の人が参加しますから、社内の新たなネットワークづくりにも役立っています。会社にとってもメリットだと思いますよ」と井上さん。

井上さんは地域でも多忙である。レクリエーションコーディネーターやネイチャーゲームの指導員の肩書を持ち、二〇年前から自宅のある茨城県の藤代町を中心に活動をしているボランティアのパイオニア的存在として知られてもいる。

 

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企業の社会貢献活動に、そして地元での活動にと忙しくも充実した毎日を送る井上さん。

 

藤代町の男性だけのボランティアグループ『おとうさん友の会』の世話人や奥さんと一緒に地元の公民館を借り「こどもリズム体操クラブ」を土曜日ごとに開いている。

「企業の社会貢献の仕事も地域社会につながっていく仕事です。地域社会で今何が起こっているか、地域社会が企業に何を求めているかを自分自身が経験値として持っていることが大切です。それがないと企業の論理で社会貢献活動を進めてしまうことになってしまいます」と熱く語った。NECの今後の活動に期待したい。

 

 

 

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