普段着の近隣型助け合い講座 No.5
「わかるふくしネットワーク」主宰 木原孝久
当事者同士の共同戦線で助け合い
栃木県足尾町で福祉のまちづくりセミナーが開かれたとき、高齢化が進んだこの町をブラブラ歩いてみました。見かけるのはお年寄りばかり。「そろそろ息子さんの所にでも行ったら?」と勧めたら、「埼玉県の□□市にいる息子の所に行ってみたけど、あそこはだめだね。近所付き合いもないし…。やっぱりここがいいよ」と戻ってきたと。こんな「出戻り組」がたくさんいました。
なんでここがそんなにいいのかと聞くと、みなで助け合っているからだと。では具体的にどうやって助け合っているのか。その後十数回ここを訪れ、各地区を調べて回ったら、面白いことに気付きました。どうやら町内のあちこちでお年寄りが寄り集まっているようなのです。
これに興味を抱いた京都府立大学の学生たちが本格的に調べに行きました。そこで四一六か所のたまり場(大部分が高齢者宅、それも一人暮らしの方)を見つけました。調べたのは町の半分程度といいますから、この倍はあるはずです。ちなみに町の人口は四三〇〇。なんと十数軒に一軒がお年寄りのたまり場になっていたのです。
学生はさらに、そこで何が行われているのか調べてみました。