日本財団 図書館


「おはようございまーす」。午前一〇時、体が不自由でない人は徒歩やマイクロバスで、車イスの人はリフト付き送迎車で、お年寄りたちが次々と玄関に到着。玄関から靴脱ぎ場、館内へと全く段差のない建物の中にあるデイサービス(高齢者日帰り介護)ルームに案内されていく。

横浜市旭区の国道16号線沿いにある横浜市川井地域ケアプラザは市営住宅に隣接した二階建ての明るい建物。廊下幅もトイレも館内の出入り口の引き戸もゆったりとしたバリアフリー設計だが、玄関や食堂には大きな油絵を掛け、事務所や廊下、階段の踊り場に野の花、オブジェ、おもちゃなどをモダンなセンスでさりげなく飾り、福祉施設臭さが全くない。広々と食堂と一体となった一階のデイサービスルームには利用者が使えるパソコンも。

二階は地域の人々がダンススクールや習字教室、ヘルパー研修、介護教室などと子供たちも含めて地域の誰もが活用できる多目的ホールなどコミュニティ・スペースと、在宅サービス職員のための部屋になっている。デイサービスの利用者は一日当たり約三〇人。その多くは送迎車で往復一時間の旭区内から通う。玄関で出迎える岩澤雅子所長は「国産福祉車両はまだ改良の余地がありますね」とリフト付き送迎車の操作を見守る。

 

介護保険の窓口になる「地域ケアプラザ」

 

岩澤所長が朝の到着ラッシュをさばき終わると今度は地元老人会の世話役が映画会の場所借りの申し込みに来た。そして事務所に戻り、ふと窓の外に目をやると表通りに出て行くお年寄りの姿を見つけ、「徘徊の危険はないかしら」と職員に確認を促す。朝からいっときも気を抜けないのだが、本当に忙しくなるのはこれから。横浜市は地域ケアプラザを市民にとって一番身近な介護保険の総合窓口として活用するからである。

地域ケアプラザとは「在宅の援護を必要とする高齢者などのためのデイサービスを実施するとともに、ボランティア等の活動・交流の場を提供し、身近な相談・助言等の活動を行う拠点」(横浜市発行『よこはまの福祉』より)。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION