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当世高齢事情 No.4

 

社会の高齢化により、従来の慣習や一人一人のものの考え方もどんどん変わってきました。特にお金が絡んでくると問題はさらに深刻。そんな当世の高齢事情をもっとも身近に見ている公証人の方に道しるべのアドバイスをお願いするシリーズ。さて、あなたはどんな生き方を選択しますか ?

 

後継ぎが欲しい

回答者 清水勇男

蒲田公証役場・公証人

 

Q 夫と三年前に死別し、一人住まいをしている七二歳の老女です。子供三人はみな娘で、三人とも結婚し、孫が五人います。孫の顔を見るのが唯一の楽しみです。子供のいない方には申し訳ないと思うのですが、せめて三人の子供のうち一人だけでも男の子だったらと時々ため息をついています。男の子がいれば、家名を継ぎ、先祖の墓を守っていってもらえるのに、と思うからです。

そんな私の立場を察してか、親戚筋から養子をもらわないかという話が出ました。遠縁に当たる三四歳の独身者で、会ってみますと、まじめで、おとなしそうな人です。仕事はマスコミ関係というだけで、はっきり言いません。その点と、やや暗い感じが気になるのですが、悪い人ではなさそうなので、亡夫や先祖のためにも思い切って養子に迎えようかという気持ちに傾いております。娘たちは、「お母さん、そんなの古いよ」とみな反対です。どうしたものでしょうか。

 

A 結論として、私も反対です。

家名を継ぎ、先祖の墓を守るということを大切に思うかどうかは、世代により、個人により異なります。あなたのお考えは、あなたの世代の人々にはごく自然に受け入れられる常識的な内容のもので、それをとやかく言うのではありません。私が反対するのは、次のような理由からです。

 

 

 

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