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過疎地に点在する一人暮らしの高齢者に「ふれあい型」グループホームを

 

また、「ふれあい型」グループホームは過疎地における介護対策の観点からも着目されている。過疎地では要介護になっても、高齢者がばらばらに点在するうえ、ヘルパー数も限られているために、訪問に要する往復の時間だけでもかなりの負荷が強いられる。これは間近に迫った介護保険の保険料、提供サービス料でも問題となっている。こうした問題の解決策も、このグループホームの住まい方に求めていこうというのが、当財団の提言である。

もともと地域に密着して、近隣同士、助け合って暮らしてきた間柄だ。「一緒に助け合って楽しく暮らそう」と、声を掛け合ってグループホームをつくる。広い一戸建てを開放して、あるいは他の入居者も自宅はそのままに、気が向いたらいつでも自分の家にも帰れるデイホーム、あるいはショートステイの延長のようなグループホームのあり方も楽しい。そうして次第に介護が必要な人が増えても、ヘルパーや医療機関は集中的にサービスやケアを提供することが可能となり、やがて自然と「ケア型」施設に移行していけるのである。「ふれあい型」グループホームは、元気な高齢者が、十分に残された後半の人生を心身ともに満足して暮らせるひとつの前向きな選択肢として発展させたいものである。試行錯誤期ともいえる現在は、さまざまに問題も生じようが、その場合も、行政の過度な保護規制に頼るのではなく、市民の中で自浄作用が働くようなオンブズマン機能、情報センターの創設などを視野に入れて、しっかりとした土台を自らの手で構築していく。それでこそ市民主導で盛り上がってきた新しいうねりである。パイオニアたる私たちは、すでにそれをこなせるだけの十分な熱意と気概を備えているはずだ。

 

 

 

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