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近隣におけるふれあい活動は、これまでわが財団が進めてきた市民互助型の組織活動とは、原理を異にする。いずれもふれあいの活動であるものの、一方は組織的にこれを行うところから、どうしても組織の原理を採らざるを得ない面があるのに対し、近隣型のふれあい活動は、組織の原理をすべて排した、当事者主体の非定型性を絶対の原理とする。

しかし、両者は決して水と油の関係ではない。組織的にふれあいの活動を進める人も、近隣型助け合いの活動の心を理解していなければ、組織的活動をする意味がない。その活動の目的をもっとも直接的に実現するのが近隣型の活動だからである。

一方、近隣型の活動は、状況によっては組織的活動に自発的に発展していくこともあろうし、近隣型の活動では応じ切れない事態については、組織的な活動を呼び込む必要が生じることもあろう。

両者は、目標は同じで、これを実現しようとする手法に差があるだけである。特に、組織型の活動を展開する人々は、常に近隣型活動の心と考え方を学び取り、組織活動が陥りがちな提供側の発想、画一性、上命下服型運営などが生み出す冷たさを払拭する必要があると思う。

 

 

 

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