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A 結論として、分別盛りの男女が真剣に考えて出した再婚という答えには、素直に従うのが正しいと考えます。自分たちを苦労して育て上げた母親が独りぼっちになり、最後につかもうとしている幸せを、娘さんたちは奪ってはなりません。

確かに、大切な母親を他の男性に奪われてしまうという、娘として堪えがたい気持ちがあることは否めないでしょう。遺産の問題にしても、母親が再婚しなければ二人の娘さんは遺産の半分ずつをもらえるところを、再婚すれば半分はその相手のものとなり、自分たちは四分の一ずつとなってしまうという利害の問題もあります。しかし、感情や損得は、相手の立場を思いやる深い愛情と理性によって克服しなければなりません。そのことをぜひとも娘さんたちにわかってもらいたいものです。

ただ、ご質問の中で一つ気になるところがあります。自分の財産を娘たちに分けてやってから再婚しようとすることは何となく不安だと言っておられる箇所です。

その不安というのは、この再婚が万一失敗に終わるようなことになったとしたら、帰るに家なく、たちまち生活に窮することになりはしないかという不安ではないでしょうか。

再婚しても、自分の財産は決して手放してはいけません。そこで、相手の男性に「身一つで結婚ということでいいでしょうか」と聞いてみてください。相手が真剣に貴方との結婚を望んでいるのであれば、必ずいいと言うはずです。そこで、自分の遺産は二人の娘さんに半分ずつ譲るという遺言公正証書を残しておけば、死亡するまでは自分のものだし、死亡したら娘さんの期待どおりになりますので、すべて丸く収まるはずです。

 

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