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さらにこの二月には、『宅老所・グループホーム全国ネットワーク』も設立されるなど、今後の活動発展に期待が寄せられる。

柔軟に、かつぬくもりにあふれたサービスを提供できるのは民営ならでは。単なる行政の補完としての位置づけというのとはまったく違った観点から、地域で暮らす高齢者の拠点として、さらなる発展が期待される。

NPO法の制定、二〇〇〇年四月からの公的介護保険制度施行と、福祉を取り巻く環境は今、二一世紀を目前にして大きく変わろうとしている。市民の手で社会を動かす。それが福祉の分野でも着実に実現されつつあるのが実感される。そしてそのことが、「利用者本位」という福祉の心の原点を、改めて我々に日々問いかける結果ともなっている。

社会が高齢化していく中で、増加していく在宅高齢者の身体介護の制度は整ってきた。しかし、寝たきりにならないためのサービス、心安らかに語らい合える場所といった精神的なサポートヘのニーズは、まだまだ満たされていない。それらの課題を浮き彫りにし、自ら改善していこうと立ち上がったのが、こうした民営サービスなのである。

形式も、最近では、宅老所にとどまらず、自宅開放型などのサロン形式のミニデイサービスやサテライト型デイサービス、あるいは共にそこで生活をする「グループホーム」も視野に入れた活動を進めているところも出はじめている。住民の声を生かし、住民の望む福祉を実践するためにも、こうした芽を摘み取ることなく、どう広げていけばいいのか、行政の支援のあり方、また、地域の市民が自分たちでできる範囲は何なのか、それぞれが新たに考えるべき重要なテーマが、今、目の前にある。

 

 

 

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