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現在の装置の主たる相違はその使用周波数で、チャンネル16を中心とするVHFの他に、船内通信に使用される460MHz帯からも選べるようになっているほか、VHFの装置の規格も相互通信は可能ではあるが、他のVHFの装置からは一部緩和されていた。

 

2・8・3 双方向無線電話装置

 

持運び式双方向無線電話装置及び固定式双方向無線電話装置(電波法では区別なく双方向無線電話)は、船舶の遭難時に、生存艇に避難をするときなどに生存艇相互間の連絡、生存艇と本船間(本船はそのVHF無線電話装置でも、双方向無線電話装置の内の1台を使用してもよい)及び救助船と生存艇間の連絡通信に使用される小型の無線電話の送受信機である。名前の示す通り、その種類としては、常時は操舵室などに格納しておいて非常の際に取出して使用する持運び式のものと、予め救命艇などの生存艇に固定装備しておくものとがある。この無線装置で持運び式のものは他の遭難用の無線装置とは異なって、必要に応じて船内通信用などにも使用できるものとすることも可能である。

この両双方向無線電話装置は、VHF無線電話の無線通信規則(RR)の付録第18号で規定されている中から、16チャンネル(156.8MHz、遭難、安全及び呼出し)を含む2波以上(普通は15チャンネルと17チャンネル)を備えることになっているが、より多くのチャンネルを備えることは自由である。RRの付録第18号では、船舶間の通信は、同じ周波数を送受切換で使用することになっており、この双方向無線電話装置も"プレストーク式"の無線機で、空中線、マイクロホン及びスピーカー、電源電池などが一体のものとなっているが、固定式の空中線は当然別装備になり、送受話器が一体となったハンドセットを別に備える場合もある。

このGMDSSの両双方向無線電話装置には、その先達としての装置がある。すなわち、1986年7月のSOLAS条約の救命設備関係の改正の際に導入された双方向無線電話装置(船舶救命設備規則第41条の2と第79条の2、電波法では双方向無線電話と同じ名称)がそれである。この装置は、GMDSSの無線装置として、その環境条件において性能的に次の通り異っている。

 

 

 

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