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短波帯では、船舶の遭難通信用に4MHz帯、6MHz帯、8MHz帯、12MHz帯と16MHz帯(他に直接印刷電信用に19、22、26MHz帯)に割当てられているのはこのためである。

電離層の状態は、1日の時間、季節、太陽活動の状態によって変化するほか、日変化もあって複雑である。電離層の状態に応じて使用可能な最高使用周波数を最高使用可能周波数(MUF)、最低周波数を最低使用可能周波数(LUF)と呼び、このMUFとLUFの間の周波数が選定されるが、普通はMUFの85%が最適運用周波数(FOT)として安定な通信が可能とされている。

短波の電波の電界強度の予測は、全世界的な電離層の分布などを使用して電子計算機による複雑な計算を必要とするので、中波のように簡単に示すことはできない。

 

7・6 超短波の伝搬

超短波(VHF)帯は、通常の電離層の状態では電離層を突抜けてしまい、地表波の減衰も早いので、送信空中線からの見通し距離内では空間波、すなわち、直接波と大地反射波の合成波が伝搬の主体となり、通常の場合は、見通し距離を超えると若干の距離は回折波が伝搬をする。したがって、超短波の場合の見通し距離内での伝搬は、図7・8の幾何光学的な近似が成立ち、自由空間の電界強度の計算法で求めた直接波と大地反射波のベクトル和で表すことができる。大地があるための電界強度Eと自由空間の電界強度E0の比で表した大地による伝搬損は次の通りである。

 

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図7・8 完全な見通し内の電波通路

 

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