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7・3 超長波と長波の伝搬

超長波(VLF)帯の伝搬は、電波が図7・5に示したように電離層で反射すると考えるよりは、マイクロ波が導波管の中を通ると考えるのがよい。船舶で利用されている超長波のシステムはオメガ航法システムであるが、その使用周波数に近い10kHzの電波を考えるとその波長は30kmとなり、電離層のD層の高さは昼間は70km、夜間は90kmなので、この高さと波長とは同じオーダになる。このため、オメガの電波は、地表面とD層を両面とする同心球の間を伝わっていき、これはマイクロ波の伝送に使用される導波管の中の伝搬と同じように考えることができる。ただし、地表面が海水面のようなところは電気の良導体であるから導波管壁と同様と考えてよいが、自由電子の存在する電離層は〔磁気的〕な良導体であり、電気力線がその壁に並行になる。そこで、地表面と電離層の間の伝搬のモード(一次モード)は図7・6(a)に示すようになり、さらに、(b)に示すような二次モードも若干存在はするが、電離層の高さと電波の波長の関係で減衰が速い。しかし、この二次モードが存在すると、位相速度の異なる両モードの位相が合成されて、正しい伝搬時間を計測できなくなる。

 

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図7・6 VLF波の導波管モードの伝搬

 

超長波はこのようにして、少ない減衰で地球の裏側までも達することができる。ただし、その伝搬上の減衰は、地球の磁場を横切るときに影響を受け、赤道に平行に東回りは減衰が少なく、西回りは減衰が多い。南北方向の伝搬は影響はない。

長波(LF)帯の伝搬は超長波帯よりはむしろ、中波帯の伝搬に近いので次を参照されたい。

 

7・4 中波の伝搬

中波(MF)帯の電波の利用は、比較的近距離では地表波の伝搬が主体であり、中距離ではE層での反射の電離層伝搬が主体になるが、短波ほどは遠くまでは届かず、昼間はD層での減衰が大きくE層の反射波はきわめて弱い。夜間はD層の減衰が少なく、ときには数千kmまでE層の反射波が伝搬することがある。近距離での地表波は昼間は安定であるが、夜間はE層からの反射波が比較的近距離でも受信されて、地表波と干渉し、フェーディングを生ずるが、両波の強度が等しい地域では、強いフェーディングになる。

 

 

 

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